別冊エナジー|フィンランド エネルギー事情 ロミ眞木子 |WASEDABOOK








































現在、ヘルシンキにお住まいですが、電力の配給に満足していますか?

とくに不満はありません。

電力会社の顧客満足度調査でも4分の3近い回答者が満足しているとの統計が出ているようです。


エネルギーコストについて、どのような印象ですか?

フィンランドは世界最北の国の一つで、多くのエネルギーが必要になる季節も長いのですが、その割に光熱費は低く抑えられていると考えてよいと思います。

電気料金は、ここ数年値上がりが続いていましたが、昨年は若干の値下げに転じました。

現在のフィンランド全体の家庭用電力の平均価格は15セント/kWh(税込)をやや上回る水準で、EU28か国の平均(約20セント/kWh)を下回っています。

また、購買力平価換算ですと、EUのなかでは、ノルウェーに次いで最も電気料金の安い国となっています 。


フィンランドは、国民一人当たりの消費量が世界有数ですが、割安感がありますね。
電気料金の割合について教えてください。

電気料金は、基本料金、発電料金、送配電料金、電気税、付加価値税で構成されています。付加価値税は24%です。

たとえば、ヘルシンキ市内の物件の90%以上には、市が100%株式を所有するヘルシンキ・エネルギーグループの送電会社から電力が来ています。


フィンランドでは、各電力会社の競争によって多様なエネルギーサービスが提供されていますか?

価格は日本と同じく商品プランによって変動しますが、最近は、再生可能エネルギーだけで生産された「環境にやさしい」電力プランなどを各電力会社が用意しつつあります。

価格は若干、割高になりますが、ライフスタイルやそれにかけるお金が人それぞれだと考えれば十分競争力はあるように思います。

言い方を変えれば、原子力発電に反対なら、他の電源で生産された電力を選ぶ余地があるということです。

日本では発送電分離政策が話題となりました。
発送電分離に手を付けないと、電力市場の全面的な自由化になりにくい面があります。

フィンランドでは、すでに1995年に電力市場法が改正され、発送電分離が実施されていますので、その議論はほぼ20年前に終わっているということになります。

送配電料金は発電料金の8割程度でした。

また、電気税はkWhあたり税込で2セント強です。
余談ながら、この電気税にも付加価値税が上乗せられているのには驚かされますけれど。

総合すると、昨年は平均月30ユーロ程度の支払いでした。同じ会社の契約世帯の平均と比べても2~3割安い感じです。


エネルギーの需要量や仕様方法は、国民ひとりひとり、ライフスタイルによって異なっています。
フィンランドのように、需要に合った生産方法や送電方法があっていいわけですね。その自由と選択肢を与えてほしいと。

ライフスタイルだけではありません。

電気料金に影響を与える要因には、家の広さ、アパート、テラスハウス・一戸建てかの違い、サウナの有無、電気による暖房の有無など、住宅事情も影響します。

また、当家の台所はフィンランドの家庭で主流の電気調理台ではなくガス台のため若干のガス代も支払っているなど、いろいろな項目があるかと思います。

電気料金からもわかる通り、私の家は広くはありません。
ただ、最近は省エネ型の電球や家電が進化してきているせいか、電力消費量自体が年々減ってきているのも事実です。

日ごろ、特別節電に気をつけているというわけでもないですし、低エネルギー住宅等でもないのですが、効果はあるようです。


フィンランドでは、国民が電力やエネルギーについて、関心や興味をもち、管理しやすいような施策が行われていると言われます。

これだけのことがすぐに調べられた理由に、スマートメーターが導入されていることがあります。

フィンランドでは、2009年に施行された政令に従って、数年前から全国の電力会社がスマートメーター導入を進めており、昨年末で約8割の世帯の交換が済んだそうです。

所定のウェブサイトにログインすると、消費電力をはじめとする諸々のデータがリアルタイムで確認でき、節電対策を考えたり、過去のデータを遡って比較や分析ができます。

消費電力の前年との比較データなどは以前から紙ベースで自宅に送られてきていましたが、スマートメーターが入ったことでより便利になったのではないかと思います。


たしかに、エネルギーを身近な課題として捉えやすいですね。

こういったサービスが普及すると、電力会社が自分の世帯の情報を広く開示してくれている実感は大きくなりますが、一方でこちらもそれなりに賢くなっていく必要があると感じます。

たとえば、当家の電力消費の推移を見て気づいたのですが、一般的には消費電力が減るバカンス月の7月に、当家ではあまり消費量が変化していないことがわかりました。

7月は日照時間が長いですし、旅行などで家を空けることも多いはずなのですが・・・・。

こんな風に、自分たちの生活スタイルを振り返るツールにもなっているような気がします。


「生活スタイルを振り返るツール」が各家庭にあるのですね。
ところで、フィンランドではコージェネレーションシステムは地域暖房を中心に発達してきたと言われていますね。

暖房・温水(冷房)については、ヘルシンキ市の場合9割以上の家庭・オフィスでコージェネレーションによる地域暖房が供給されています。

料金は上記の電気料金に含まれておらず、毎月のアパート管理費の中に含まれています。

これは前年に予想した年間使用料を月々定額で支払っていくというもので、夏でも支払っていますが、管理費に占める割合はごくわずかだと思います。

コージェネレーションによる地域暖房は副産物の活用という意味では大変優れていると思いますが、コージェネレーションの熱源そのものの環境負荷にも注目する必要があります。

ここでも、従来の化石燃料から再生可能エネルギーへの移行を目指していると思います。


フィンランドのエネルギーの動力源について、最もウェートを占めているエネルギー源を教えてください。

2013年の全国データは次の通りです 。

原子力33.3%、水力18.7%、バイオマス15.9%、石炭14.6%、天然ガス9.9%、ピート(泥炭)4.9%、廃棄物1.4%、風力1.1%、石油0.4%

電源構成には卸電力市場の状況(電力の卸売価格)も関係するので、毎年若干の変動はあると思います。また国内でも電力会社によって電源構成は異なると思います。

ヘルシンキの電力は原子力と火力が主流です 。


エネルギー政策の特色をどうお考えですか。

フィンランドのエネルギー政策の主軸は、「安定供給」、「経済性(競争力の高い価格)」、そして「環境(EUが設定している諸要件の達成)」の3つと言ってよいです。

この3点を最適の形で実現するための施策が多角的に行われています。

フィンランドのように今後も新しい原子力発電所の建設・運転開始計画がある国は世界でも数少ないと聞いていますが、実は、フィンランドも政策的には決して手放しで原子力発電推進というわけではなく、これからのエネルギーや経済を担うのは再生可能エネルギーであり、クリーンビジネスだとされています。

実際、すでにご紹介した電源構成を「再生可能エネルギー」の括りでまとめると36%となり、すでに原子力を上回っています。

特に、木質チップなどのバイオマスでは独自のノウハウが構築されつつあるそうです。

また、風力エネルギーは巨大な風車で森と湖の景観が壊れると、フィンランドでは世論の反発が高かったのですが、これから増えていく見込みと報じられています。

全体としては、環境への配慮、技術の進歩、社会や市場の動向、コスト、自立性などの要因を総合的に見極めながら、その時点で最善のポートフォリオを探っているように見受けられます。


エネルギー政策が社会問題や経済問題になっていますか?

フィンランドは日本と同様、資源に乏しい国ですし、環境への配慮の面でもエネルギー政策は非常に重要な課題だと思います。


従来のエネルギー政策を転換しようという計画は?

上述のとおりで、再生可能エネルギーの新規開発も原子力エネルギーも維持されていくと思います。

再生可能エネルギーの研究開発・普及は続けられていくと思いますし、化石燃料による発電は、環境への影響に照らしていかに減らしていくことができるか、引き続き検討されていくことと思います。

原子力エネルギーについても、進行中の原子力発電所関連の諸々のプロセスは引き続き進められていくと思います。


国内の原子力発電の稼働状況や今後の計画について教えてください。

現在、フィンランドには運転中の原子力発電所が4か所あります。オルキルオト第1・第2およびロヴィーサ第1・第2です。

また、試験研究用の原子炉は1基(オタニエミ)、建設中の発電所が1か所(オルキルオト第3)です。

さらに、原則決定が出ている建設計画が2件(オルキルオト第4、ピュハヨキ)あります。


放射性廃棄物処理を扱うドキュメンタリー映画『100,000年後の安全』(Into Eternity)は、福島原発事故の影響もあって注目されました。最終処分施設オンカロの動向は日本も注視しています。

高レベル放射性廃棄物(使用済み燃料)を約20億年前の基盤岩に地層処分する最終処分施設オンカロは、オルキルオト原発サイト内にあり、オルキルオト原発とロビーサ原発の使用済み燃料が最終処分される予定です。

厳密にはまだ調査施設というステータスで、昨年建設許可の申請書が国に提出されました。最終処分開始は2020年以降と予定されています。

また、オルキルオト原発サイト内にはオンカロより小規模ながら同じ構造を持った中低レベル放射性廃棄物最終処分施設があり、すでに1992年から使用されています。


放射性廃棄物をどのように処理すればよいのか。これが日本における原発の最大の問題のように思われます。
この件について、フィンランド政府はどのような取り扱いを決めていますか。

フィンランドでは、1990年代半ばに放射性廃棄物の国外持ち出し、国内持ち込みが法律で禁止されています。

これらの原子力発電所の運転開始までには、環境アセスメント、場所の選定、政府原則決定、建設許可、運転許可といった長い年月を要するプロセスを踏む必要があり、政府原則決定、建設許可、運転許可については電力会社の申請書類を国と国会の両方が承認する必要があります。

最終処分施設の場合もプロセスは全く同じです。


住民はどう対応しますか。あるいは政府は住民に対してどう向き合いますか。

自治体や地元住民が建設を拒否する場所に発電所が建設されることはありません。

一連のプロセスにはすべて放射線原子力安全局(STUK)を筆頭とする複数の評価が入り、安全性に関する厳しいチェックがあります。

このプロセス自体が、多くの関係者を巻き込みながら一つ一つ公にコンセンサスを取る形で進められ、現在まで機能してきたといえます。


国内で原発運動は行われているのでしょうか?

反原発運動もまったくないわけではないですが、上に述べた一連のプロセスに比べれば総体的な力は弱く、散発的なように思います。


原子力エネルギー政策の今後の課題は何でしょう?

日本の事故をきっかけに国際的に脱原発の声が高まっている中、原子力エネルギーの今後は予測が難しいとされています。

直近の具体例としては、ピュハヨキ原発の建設を計画しているFennovoima社では、昨年末、株式の3分の1以上を保有していたドイツ企業が株主が降りてしまうという事態になりました。

替わりにロシア企業が入ることになり、原子炉もロシア製のものが使用されることになりましたが、ここでまず「エネルギーの自立性」に矛盾を感じさせることになってしまいました。

また、ピュハヨキ原発は、使用済み燃料の最終処分方法も決まっていません。

最終処分施設オンカロは、他社が自社の発電所の使用済み燃料を最終処分する目的で開発しているもので、Fennovoima社の燃料を処分するキャパシティはないとされています。


そもそも原発の「安全性」に対し、フィンランド国民はどのように感じているのでしょう。

フィンランドは、1950年代の旧ソ連の核実験、1980年代のチェルノブイリ原発事故の影響を受けています。

フィンランドに半世紀以上も前から規制庁(STUK)が設立されていたのも、もともとは国外からの放射能被害の防護が大きな目的でした。

原子力発電が100%安全で何のリスクも生じないものとは誰も考えていないと思います。国や電力会社も原子力発電をそのように喧伝してはいませんし、子どもだましの説明をすることもありません。

ただ、安全性確保に向けて最大限の取り組みを行っているとは、言っていると思います。


安全確保に対する政府や自治体の真摯な取り組みや厳格な基準が国民に浸透しているということでしょうか?

実際、今まで大きな事故も起こっていませんので、少なくとも国内で行われていることについては、今のところ市民・電力会社・国・自治体の信頼関係が成り立っているということのように思います。

また、国の放射線原子力安全庁(STUK)が電力会社に課す基準も非常に厳しい物があります。

そのために現在原子炉の建設が進められているオルキルオト第3原発も完成が大幅に遅れています。

電力会社側には損失も出ていると思いますが、それでも安全性を最優先させるというのが規制庁側のスタンスのようです。

ちなみに、このオルキルオト原発を持つTVO社は、自社の株主(製造業など、TVO社の電力を直接使用する企業、その他電力会社)への電力供給以外に営利を追求しない経営体制を取っている企業です。


フィンランドでは原発の「安全基準」は明確になっていますか?

明確です。すべて放射線原子力安全庁(STUK)が策定しています。


その「安全基準」を決定しているのは誰ですか?

放射線原子力安全庁(STUK)が決定しています。

フィンランドのエネルギー政策は雇用経済省の管轄ですが、STUKは社会福祉保健省の管轄にある独立機関で、営利とは離れて純粋に安全性の面から放射線や原子力を監督する、極めて専門性の高い機関です。

STUKの職員は原子力発電所にも常駐しています。また、エネルギー政策に関して政府に助言や情報提供も行う役割を持っています。

発電所の責任者等、電力会社の人事にもSTUKの承認が必要です。これらのSTUKの役割や権限は法律や規則に定められています。


国民に対して、原発やエネルギー政策に関する情報は公開されていますか?

フィンランドでは行政活動の公開性が法律で定められており、個人情報や企業活動に関する情報以外、公文書は基本的に公開が前提で、非公開の情報には一定の根拠があります。

エネルギー関連についても、防衛上の理由などで非公開となっている情報はあると思いますが、基本的には同じ法律が適用されますので、大半は公開されていると言えます。

民間企業の場合、どのような情報を開示するかはその企業の判断となりますが、電力会社は専門性の高い情報を公開していると思いますし、国(STUK)に対してもさまざまな報告義務を負っています。

たとえば、原子力発電所の安全性については、STUKが四半期報告書と年次報告書をそれぞれ発表しています。


国内のマスメディアは、原発、エネルギーに関する正確な情報を積極的に提供していますか?

日本のマスメディアのような形ではないかもしれませんが、提供していると思います。

これまでお話したピュハヨキ原発の使用済み燃料の最終処分方法の件もそうですし、安全性確保に向けての取り組みもそうです。

また、オンカロの工事の進捗なども情報提供が目立つところだと思います。


あなた自身、原発やエネルギーに関する情報を正しく取得できていますか?

私自身が「正しく取得できている」かどうかはわかりませんが、たとえばSTUKや電力会社のウェブサイトにはこの分野に関する情報が嫌というほど掲載されています。

英語の情報もあり、詳細に翻訳されていますので関心のある方はご覧になってみていただければと思います。日本の当局や電力会社が掲載している情報の量や質との違いがあるか、比較検討してみていただくのもよいと思います。特に規制庁のサイトなどは膨大な情報量があると思います。

日本の事故の時は、STUKのウェブサイトに情報を求める国民のアクセスが殺到してサーバーがダウンしてしまったそうで「このような有事に、危機管理がなっていない」と批判を受けたとの報道がありました。これなどは、一般の人々も重要な情報源としていることがわかるエピソードです。

例:
STUK: http://www.stuk.fi/en_GB/
TVO(オルキルオト原発):http://www.tvo.fi/Home
ヘルシンキ・エネルギー:http://www.helen.fi/en/Households/
POSIVA(オンカロ):http://www.posiva.fi/en


フィンランドでは、新しいエネルギーの開発、政策を国レベルで検討していますか?

エネルギー政策における国の数値目標として、2050年までにCO2の排出を1990年の水準から80から95パーセントを削減するという目標があり、それをいかに達成するかという課題に向けた国のプロジェクト「Energy and Climate Roadmap 2050」が昨年から実施されています。

このプロジェクトは、業界との意見交換やクリーンテック市場の動向などさまざまな調査を通じて、課題達成への道を「ロードマップ」として提示することを目標とするものです。

一般市民も、オンラインディスカッションや、専門家が執筆する同プロジェクトのブログへのコメントなどによってプロジェクトに参加可能とされています。


東日本震災時の原発事故について、フィンランドではどのように受け止められていますか?

少なくとも東日本大震災やそれに伴う事故のことは大きなニュースとなりました。ほぼリアルタイムで詳しく報道もされました。

STUKのウェブサイトには今でも特設ページがあります。事故の報道にあたって新しく日本の電力会社の名前を覚えた人も少なくないと思います。

ごく身近なレベルでは「50近い数の原子力発電所を停止させているのに、なぜ電力が供給できているのか」という素朴な質問を受けたことはあります。

既存の火力発電所を一部再稼働させていることについては、環境の面からそれは好ましくない、という反応はあります。

もっとも私自身は、日本に戻ると、やはりいろいろな場面で節電の努力が行われていることをあちこちで実感します。

日本の状況とフィンランドを単純に比較することはできないと思うのは、フィンランドでは国内で大きな事故が起こっていないのに対し、日本ではすでに大きな事故が起こり、実際に大きな被害が出てしまっているということです。

これだけの事故となってしまった後、日本で多くの人が原子力発電の耐震性や安全性に不安を持つのは不思議なことではないと思います。

起こってしまった事故への対応と同時に、安定供給や今後のエネルギーのあり方、信頼回復を考えていかなければならず、とても難しい問題だと思います。


未来のエネルギー社会、理想のエネルギー政策について、どうお考えですか?

理想といえるかどうかわかりませんが、エゴがないことだと思います。

理想を描きながら現実も見据え、コストを抑えながら最適なポートフォリオを実現しようとしているフィンランドの現在のスタンスは、完全ではないかもしれませんが、よく考えられており、納得できるものだと思います。

また、電力会社も特別扱いされているわけではなく、むしろ厳しい安全規制を受け、多額の税金(固定資産税など)を支払いながら、一般市場の中で他の業種と同じように企業活動を行い、競争力や顧客志向を追求していると思います。それも健全なことだと思います。

もう一つはエネルギーを使う側の主体性ですが、人口が少ないフィンランドでは、一人ひとりの市民に、考える姿勢、賢明さ、積極性などが求められているようなところがあります。

その点で信頼できる情報が手に入ることはとても重要なことですし、各自が主体的にエネルギーについて知り、考えるためのツールはいろいろと提供されていると思います。

以前、あるミュージアムで「未来都市の電源構成」をシミュレーションするという、ICTを使ったシムシティ風の体験型展示に行ったことがあります。

街の立地から住宅タイプ・人口構成まで自分で考えた上で、さまざまな要素を考慮しながらエネルギー源のポートフォリオを考えていき、最後にそれが社会的、経済的、環境的に持続可能(sustainable)な選択だったかどうか診断されるというものでした。

とても難しい課題だった反面、ミュージアムの展示ですから気軽に取り組めばいいわけで、仮にそこで環境負荷やコストが高かったとしても、誰に迷惑がかかるわけでもありません。

大切なのは、時には楽しみながらでも、こうした思考のプロセスを積み重ねていくことなのではないかと思います。


2014年2月




参考文献

上記の回答に際しては、次の文献を参照しています。

Finnish Energyy Industries(2014年1月)
ヘルシンキ・エネルギー
フィンランド雇用経済省
STUK
フィンランド雇用経済省
Hoffman K., Säteilyturvakeskuksen historia 1958–2008, Säteilyturvakeskus
TVO









参照

エネルギー政策の中心的課題

 フィンランドでは、紙・パルプ製造などのエネルギー多消費型産業の発展や、寒冷な気候条件により国民一人当たりの電力消費量はEU域内でもトップクラスとエネルギー消費量が多いが、エネルギー資源に乏しく、エネルギーの輸入依存度が高い。そのため、国内資源の開発、エネルギー有効利用の促進などによりエネルギー自給率を高めることをエネルギー政策の中心的課題としてきた。

北欧の国境を越えた電力融通政策

 北欧諸国では1963年に設立された北欧電力専門家協議会(NORDEL)を中心に、古くから国境を越えた電力融通が行なわれてきたが、より効率的な電力利用を図るため、1993年に世界初の多国間共通電力市場ノルドプール(NORD POOL)をノルウェーに設立した。

ノルドプールの需給バランス

 フィンランドは1995年に電力市場法を施行し、1997年1月から全面自由化を実施、他の北欧諸国とともに自由化された北欧電力市場に参加し、ノルドプールを中心とした卸電力市場の枠組みの中で電力輸出入を行っている。これにより、北欧市場での毎年の電力輸出入量は、北欧諸国の主力電源である水力発電の発電電力量に大きく依存することとなった。

 すなわち、降水量が豊富な年には、水力発電比率が高いノルウェー(約100%)やスウェーデン(約50%)の安価な電力が市場に出回るため、フィンランドの電力輸入量は増大する。

 逆に降水量が少ない場合には、フィンランドの電力輸入量は減り、国内の火力発電所による電力供給で賄うことになる。ちなみに、ノルドプールでは、電力の現物・先物取引を行うほか、二酸化炭素排出量、グリーン電力証書等をも取扱う。

市場競争によるエネルギー体系の強靭化

 フィンランドでは、中小規模の電力会社や事業会社が共同出資で非営利の発電会社を設立し、出資比率に応じた電力を原価で調達する仕組みが発達しており、電力事業会社間の所有関係はやや複雑に入り組んだ構造を形成している。

 ちなみにフィンランドの発電事業者数は約120社、発電設備数は550と分散しているが、実質は大手電気事業者であるPVO社、TVO社、Fortum(フォルトゥム)社の3社による寡占状態で、3社の発電設備容量シェアは45%~50%である。

(以上、「フィンランドのエネルギー動向および電気事業概要」高度情報科学技術研究機構)

発送電分離

 電力会社の発電事業と送電事業を分離。
なお、メリットデメリットについては、ここを参照。

スマートメータ

フィンランドでは電力計の完全デジタル化=スマートメータの導入を政府主導の施策として実施。他に、イタリア、スウェーデン、オランダなどでも導入している。

コージェネレーション(熱電併給)システム

ヨーロッパにおけるCGSの用途は、その先進国であるオランダ、デンマーク及びフィンランドでは地域暖 房を中心に発達してきた。
(「コジェネレーションシステム導入に関する調査」)